生命保険で納税資金を用意する方法:相続を安定させる財源設計

こんにちは。世田谷・三軒茶屋相続相談センターの相続診断士の乾です。
今回は、「生命保険を使って、相続税の納税資金を確保する方法」について、制度面も実務面も含めて丁寧に解説します。

相続が発生したとき、不動産評価が高くても現金が少ないと、納税資金に困るケースがあります。そんなとき、生命保険をうまく設計しておくことで、家族の安心を支える「財源設計」が可能になります。

ご親御さん(80代)が東京都内に自宅・複数の不動産を保有していて、相続人は配偶者と子ども2人(うちあなた65歳)というケースを想定しながら、実践的にお話ししていきます。


第1章|なぜ生命保険で納税資金を用意するのか?

1. 不動産中心の相続の問題点

多くの方が相続する財産に不動産が含まれます。土地や建物の評価は高いですが、現金が少ない・流動性に欠けるため、相続税を支払うための現金が不足するリスクがあります。
もし納税資金がないと、売却をせざるを得なかったり、借入をしなければ納税できなかったりと、家族に大きな負担が出る可能性があります。

2. 生命保険を利用する利点

生命保険は、被相続人が亡くなったときに保険金が支払われる仕組みです。これを納税資金にあてるように設計すれば、相続発生時に現金を確保できます。
さらに、生命保険金には「非課税枠」が使える制度もあり、一定額までは相続税の対象外とされます(500万円 × 法定相続人の数、ただし制度要件あり)。この制度を活用すれば、保険金の全額が相続税計算の対象外になる可能性があります。

3. “保険+他の対策”の組み合わせ効果

生命保険だけに頼るのではなく、遺言書・生前贈与・信託などの制度と組み合わせることで、より柔軟で強い相続対策になります。保険で納税資金を確保しつつ、不動産評価を下げる制度を併用すれば、税負担を大幅に軽減できる可能性が高まります。


第2章|生命保険で納税資金を設計するためのポイント

以下は、実際に保険を使って納税資金を設計する際に押さえておきたい要点です。

ポイント①:契約者・被保険者・受取人の設定

  • 契約者:被相続人本人が契約者になることが一般的
  • 被保険者:通常は被相続人
  • 受取人:相続人(配偶者・子どもなど)や一定の死亡保険受取人を設定

これらを適切に設計しないと、保険金が相続の対象にならなかったり、非課税枠が使えなかったりすることがあります。

ポイント②:保険金額の決め方

納税資金、家族の生活資金、遺留分対応などを見据えて、最低限必要な額+将来の見通しを加えて決めると良いでしょう。たとえば、不動産評価額・他の相続財産をもとに相続税予測を行い、保険金額を逆算する方法が一般的です。

ポイント③:保険種類の選択

  • 定期保険:保険期間が限定され、掛け金が比較的安い
  • 終身保険:一生保証があり、解約返戻金も期待できる
  • 養老保険・逓増定期保険など:貯蓄性を持たせたタイプ

それぞれにメリット・デメリットがありますので、目的に応じて選ぶことが大切です。

ポイント④:契約タイミングと保険料支払期間

早めに契約すると保険料が安く済むことがあります。ただし、途中で保険料の支払い負担が大きくなると続かないリスクもありますので、支払期間・キャッシュフロー見通しを慎重に設計します。


第3章|制度と税制を理解しておきたい点

非課税枠(500万円 × 法定相続人)

  • 保険金のうちこの枠までは相続税の課税対象外になる制度
  • ただし、すべての保険が対象とは限らず、受取人や契約形態が要件を満たすことが必須

相続税と生命保険金の関係

保険金は「みなし相続財産」として扱われることがありますが、非課税枠を活用できれば節税につながります。

贈与税との関係

保険料の贈与性を考える必要があります。高額な保険料を被相続人以外が払っていると、贈与税の問題になることがあります。

遺留分との関係

生命保険金も遺留分計算に含まれるケースがあります。特に受取人を偏在させるような設計をしていると、他の相続人とのトラブル要因になる可能性があります。


第4章|具体的な設計例(モデルケース)

以下は、想定される世田谷区のご家庭をモデルにした設計例です。

ケース設定

  • 自宅土地評価:1.2億円
  • 建物評価:300万円
  • 預貯金:600万円
  • 相続人:配偶者+あなた(65歳)+弟(40歳)
  • 生命保険を使って納税資金を準備したい

設計案A:定期保険による最低保証型

  • 保険金額:1,500万円
  • 受取人:相続人3名
  • 契約期間:終身(または長期)
  • メリット:掛け金を抑えて納税資金を確保

設計案B:終身保険+解約返戻金併用型

  • 保険金:2,000万円
  • 一部を解約返戻金として利用可能
  • 生命保険金のうち、非課税枠を最大限利用

これらを、税理士と共同でシミュレーションし、相続税・キャッシュフロー・将来の資産価値などを比較して提案します。


第5章|保険を使う際の注意点と落とし穴

  1. 要件を満たさないと非課税枠が使えない
    受取人や契約形態の設計ミスで、非課税枠が適用されないことがあります。
  2. 保険料の支払負担が家計を圧迫する
    長期間の支払い契約は、老後の収支バランスに影響することがあります。
  3. 保険解約リスク・解約返戻金の減少
    解約返戻金が予想より少なくなる場合もあり、払い損になるリスクもあります。
  4. 他の相続対策をおろそかにしないこと
    保険だけで相続対策が完結するわけではありません。遺言書・贈与・信託などとの併用が不可欠です。
  5. 相続人間の不公平感を生まない設計
    保険だけを特定の相続人が受け取るように設計すると、他の相続人との不満や争いになる可能性があります。

第6章|まとめ&相談への誘導

生命保険は、相続税の納税資金を用意する上で非常に有力な道具です。ただし、制度設計や契約内容に細心の注意を払わないと期待通りの効果が得られないことがあります。

ポイント振り返り:

  • 契約者・受取人設定を正しくする
  • 保険金額は将来の相続税を見据えて設計する
  • 非課税枠の要件を理解する
  • 他の対策と組み合わせた総合設計が有効
  • 相続人間の公平性や遺留分リスクも配慮する

もし「うちの場合で保険を使えるか聞きたい」「見積もりや設計プランを出してほしい」という思いがあれば、ぜひ私たちにご相談ください。専門家チームが、お客様の状況に合った設計をさせていただきます。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。あなたとあなたのご家族の未来が、安心と納得に満ちたものとなるよう、微力ながらお手伝いさせていただきます。